夏の日暮れは遅い。彼女の家に着いたらまだ西の空がほのかに明るかった。空が暗くなるまでみんなで花火をした。
僕はみんなに怪しまれないように何気なく愛夢ちゃんの横に移動する。彼女は楽しそうに笑っている。

「火をつけてあげるよ」
「あ、うん。ありがとう」

彼女が持つ花火にライターの火を近づける。ジジッと音がして綺麗な火花が散る。

そうだ、そうだった。彼女は浴衣を着ていた。長い髪を結って、襟足からほっそりした首筋が覗いていて、僕はなんだかどきどきしたのだった。