「んー!終わった」

あれから3年後、私は大好きな漫画に関われる会社に就職し、忙しい毎日を送っている。つい先日海外に転勤することが決まったため、今は引っ越し作業中だ。棚を整理していると、元カレとの写真や貰ったプレゼントなど、3年前に別れたのに取っておいてるものが沢山あった。あの日々は、それだけ大切で忘れられないのだろうか。

別れを告げた後、元カレからはちょくちょく連絡がきていた。元気にしてる?とかご飯食べてる?とかそんなことばかり。流石にしつこすぎると思ったので、一切返信はしていない。

後から聞いた話なのだが、浮気は私の勘違いだったことがわかった。詩音はただアドバイスをしていただけで、蒼に対して恋愛感情なんて全くなかった。だが、蒼の意見を聞きに来る回数が増え、私に浮気を疑われているのではと思い、すぐに離れたのだそう。当時は私が浮気を疑っている確信がなかったので、言い出せなかったと詩音は涙ながらに話した。
詩音を疑っていた自分を恥ずかしく思い、詩音と一緒に泣いた。詩音とは今でも親友だ。

海外に行くことを詩音に言った時、会話の延長線上で元カレについて聞かれたが、なんとも思ってないと答えた。時が解決するというのは本当で、流れる時間に反比例するように恋心は薄れていった。あの頃の私達は恋愛に真面目すぎた。だから上手く行かなかった。ただ、それだけのこと。


「よし、捨てるか。うん捨てよう」

自分に気合を入れるように言葉に出し、元カレとの思い出を捨てた。
やってしまえば案外単純で、スッキリとした部屋に1人座る。正直、海外に行くのが怖い。それでも行こうと決めたのは、ここにいればきっと大人になれないと思ったから。




別れるとき、1つの約束をした。それは、私みたいな人を好きにならないこと。元カレは返事を返さなかったから一方的な約束に過ぎないけど、元カレの人生に関わった1人の人間として言っておきたかった。
次に会う時は蒼が幸せでありますように。