「別れよう」

3年前、半年間付き合っていた彼氏に送った、酷く無機質な言葉。結局勇気が出なくて、直接言えずに文字に起こした。返信の速度はいつもよりも早くて、内容はそれを否定するもので、やっぱりまだ私のことを好きなのかも、と1人で勘違いしてしまう。そんな訳ないのに。途端に溢れ出してくる涙を拭い、できるだけキッパリと返した。

「蒼のことが、もう好きじゃなくなった。ごめんね」

既読がすぐについたのに何も返ってこなかったのは、浮気していたからだと思う。スマホの電源を落として、湧き上がってくる黒い気持ちを必死で抑えた。もう別れたんだから。もう蒼のことで悩まなくていい。私は、蒼のことが嫌いだ。