三か月目、初めて彼と手を繋いだ。
見るより繋いだ時にわかった指の太さと長さにときめいた。繋いだのは道が混んでいたからだ。
丁度お祭りがあるときで、混雑がピークになっていた。部活帰りで、その道を通らなかったらいけなかったからだ。
「はぐれる」
「わ」
痛いくらいに力をこめられる。彼はずんずんと前に進んで、私を引っ張り急かした。
後ろから見た彼の背中は私より広く、初めて知った。
黙って繋いだその手に私はときめくけれど、みかちゃんを私に重ねているのだろうか。
そう思うと胸が泣きたくなる思いでいっぱいだ。自分の罪なのに。
彼は自分に自信がないらしい、特に顔。でも横から見た鼻筋のラインも色素の薄いまつ毛も素敵だと思う。今は後ろにいるから見えないけれど。
付き合って半年、彼は余裕のある男になる。そして垢抜けた。私のことを、大崎と変わらず呼び手をあの日以降繋ぎたがる。戸惑えば、「嫌なのか」と不機嫌になってしまう。しっかり目を見つめられて、私が逸らすようになった。
堂々と恋人として公言するようになって、私はほとほと困惑した。