剣呑な表情に、僅かに怯えを滲ませながら真っ直ぐに私の瞳を射貫いていた。
今日から私はクラスメイトから性悪女に彼の中で格下げになったのだろうと思う。
好きです、付き合ってほしい。みかちゃんの笑顔に惹かれました。
返事はいつでもいいので聞かせてほしい。
私の靴箱に短文が羅列された手紙がそっと靴の上に鎮座していた。
てっきり、私宛だと思って開いてみると、みかちゃんと書かれていた。
私はみかちゃんでなく、小夏ちゃんである。
そして、それを読んだあと、私はしっかり失恋した。
このドジな手紙の張本人を私は好きだったのだ。
そして、わかりやすく脅した。気持ちをばらされたくなかったら付き合って、と。
「俺はみかちゃんに出すつもりだったから、大崎と付き合うなんてしないよ」
「みかちゃん、ちっとも関目のこと好きじゃないよ。他校にいる彼氏にメロメロだし」
わかりやすく関目の顔が苦しげに歪んだ。
これは事実で、みかちゃんには彼氏がいる。だが、みかちゃんはたくさんの彼氏がいる。校内の学年違いに一人、他校に二人。修学旅行での恋バナにちょうど、みかちゃんはいた。恋愛遍歴は面白く、彼女は男が夢見るほど純粋ではなく現実的で冷めた性格をしていた。