あの子を,放っておいちゃいけない。

同じ女の子として,どうしても琴音さんの表情が気になる。



「琴音さん,デートに誘いにきたんじゃない? 流雨私達といてばかりでしょ? 行きなよ,言っとくから」



自分が何をしたいのか,ブレブレで。

言葉だけが先走る。

行ってあげて欲しいのに,今はいかせたくない。

言葉を流雨に向けながらも,視線が足元に向いてるのは,きっと本心ではないから。



「ううん,大丈夫。半年後,バラバラになる友達との時間大事にしたいって言うの,分かってくれてるから」



嬉しそうに笑う流雨の顔を見ながら,私は全部分かった。

だから,なんだね。

2人をどちらも見た私は,そっと息を吐いた。