もう,俺ら付き合って3年じゃん。

俺まで伝染するみたいに,繋がった手から温度が流れ込む。

横を見ると,琴音はもう俯いていて。

また上を,俺を見て欲しいって,そう思う。

さっきみたいな顔,もう一回見たい。



「琴音」

「え…?」



顔をあげた,素面の琴音。

その唇を,俺はそっと,本当に軽く,申し訳程度に塞いだ。

あいにくキスの経験なんて,ほんの数回。

それも結構前で,まったく慣れてない。

自分の顔も熱いのが分かる。

驚いて言葉を失い,真っ赤な状態で震える琴音。

許可なくするなんて,初めてで,ちょっと不安になった。



「…ごめん」

「なっんで…その,急に…?」

「その,したくなって」

「ふぇっ?」



動揺を必死に隠して,上目で尋ねる琴音に,また,したくなる。