「いいよ。でも,俺の方が強いから」



意地悪く俺が言うと,琴音は頭一個低い位置から頬を膨らませた。

自然と笑いが込み上げて,片手の甲を持ち上げる。

それを見た琴音は,さらに眉間を狭めた。



「もぅ,なによぅ。私だって学童でやってたんだからっ」

「学童って」



いつの話…

とうとう口から音が漏れる。

琴音は悔しそうに唇を噛んだ。



「ごめんごめん」



流石にからかいすぎた。



「あそこ,よろ」



ドアにノックするように,俺は拳をコンビニに向ける。

すると,琴音は空気が華やぐようなはにかみ笑いを俺に見せた。



「いいよ」



…可愛い。