帰りの電車内,ほんの少しの甘い気まずさと疲れから,言葉少なく過ごす。

眠くなってうとうとしていると,流雨はまだ,なんとか平気そうだった。

寝てもいいかな。

だめでも寝そう~。

そう思っていると,いつの間にか自分の意識がなかった。

そう気付いたのは,パチリと目を開けた時。

私…寝てた?

電車がどこかに停まって,揺れたから起きたらしい。

どれくらい…ここ,どこ。

ちょっとだけ危機感を持つものの,隣に流雨の姿が見えたからか,ゆっくり思考を巡らせる。

すると動き出して,また私の体が揺れた。

わっ…

え?

揺れた私の体を心配したのか,流雨が支えた。

驚いて固まれば,流雨は迷ったようにそのまま手を離す。

支えを失った私の体はさっきと同じ方向に,けれどさっきより何倍もそっと。

流雨の体に倒れ込んだ。