『もう,泣きたくない。流雨とのことで,傷付きたくないの』



そうはっきり言われて,琴音の傷の多さを知っても。

やっぱり別れたくなんかない。



『流雨,最後に。私のわがまま,聞いてくれる?』



もう,受け入れるしかない俺に。

琴音は。



『私の次の女の子が出来たら…ただの日常の一部にしないで,その上で,ちゃんとその子に向き合ってあげて』



もう,もっと先を見つめていた。

琴音から連絡が来るのも,琴音に笑いかけて貰えるのも。

キスが,許されるのも。

当たり前なんかじゃ,無かったのに。



『日常の一部にしないで』



そう思ってたこと,琴音は気付いてたんだよね。

俺は振り返って,初めて気付いたのに。