その瞬間,鼻と目がカッと熱くなって。

少しの嗚咽と涙が一滴,私からもれた。

だけどすぐ,無理やり震える喉に力をいれて,なんとか持ち直す。

流雨は



「ぇ…」



と小さくこぼして,私はやっぱり予想してなかったのかなとおもう。

もしくは…実際聞いてみると,やっぱりショックだったのかもしれない。



「待っ…て。ごめん,琴音。俺,言っても昨日だけど,気付いたから。琴音のことも,2人の時間も,大事に出来てないって。謝ろうと,思ってて,もう記念日だって…」

「流雨,聞いて。お願いだから」



もうそんな事じゃない。

別れを告げる前に,流雨が私を見てくれたのは,今私が泣いてしまっている位嬉しい。

ちゃんと行動に移そうって,直ぐに連絡をくれたのも。

理由が分かったとたん,本当に嬉しい。