膝を最後までついた時,朔は痛々しげに私に寄ってくる。



「琴音,いきなりすぎた。ごめん」

「ううん。いい,の」



朔が私を大事に想っててくれたのは,すごく驚いたけど,同時にすごく嬉しい。

例え,同じだけ返せなくっても。



「でも…他の男に告られて,泣く程辛いんじゃないの。今の彼氏の,彼女でいるのは」



なんだ。

気付いてたの。

全部お見通しなんだね。

いきなり泣き出す私を,朔は分かるんだね。

嬉しいからでも,関係が崩れる悲しみからでもない。

私は,その言葉。

ずっとずっと,流雨から貰いたかった。

ごめんね,朔。



「じゃあ,もういいじゃん。俺なら,すっげぇ大事にするから」