私が好きになったのは芸能人?!





「連絡するようになって電話もするようになって
 学校では放課後、部活が終わった頃に迎えに来てくれたり
 遊びに行ったこともあるんだよ?」


楽しそうに笑う音

そうだったんだ…


「最初は私から誘ってたんだけどね、だんだん秋ちゃんからも誘ってくれるようになって
 ある時このネックレスを渡してくれたの
 その時に私、この人が好きなんだ、秋ちゃんがTURRYのメンバーでかっこいいからじゃなくて
 一緒にいると楽しそうにして…私にしか見せない笑顔があるんだよ?
 私はその笑顔を隣で見ていたい、秋ちゃんが好きなの」

「本当に秋ちゃんが好きなんだね」


「うん!大好き!」


可愛い…


「私なんか嬉しいな」


音がこんなに嬉しそうなのも女の子の顔をしているのも全部秋ちゃんのおかげ


「文化祭の日、私、頑張るから
 今度は雛の話聞かせてよ
 飲み物持ってくるから座って待ってて」


音は飲み物を持ってくるために部屋を出て行った


私はとりあえず机の近くに座り音を待った






私の話か…

何を話せばいいんだろう…

きっと恋愛のことだよね








ガチャッ




「お待たせ〜
 お茶とお菓子しかないけど、食べよ?」

「ありがと」


私たちはお菓子を食べ始める







「それで、今2人のことどう思ってるの?」


和くんと陸くんのことだよね


「和くんは優しいから、一緒に帰ってくれたり優しい言葉をかけてくれる、一緒にいると落ち着くんだよね
 陸くんは同い年だから一番話しやすいかな
 振り回されてばっかりだけど…嫌じゃないのは分かる
 優しい言葉をかけてくれるし手を繋いだ時だってキスをした時だって本当に嫌だったら振り払ってるはずだから」


「…もうそこまで気がついてるならあと少しってところかな?」

「ん?ごめん、聞こえなかった」

「ううん、その人の特別になりたい、隣にいたいって思うことが恋に気が付くきっかけかもね」




特別…




「音、私ね2人といるのがすごく楽しいの
 恋って嬉しいことなのになんだか…こんなに辛くなることってあるんだね」


私の目には涙が浮かんでいた


「雛、泣かないで?
 大丈夫、あの2人なら雛がどんな選択をしても受け入れてくれるはずだから
 素敵な2人じゃない、私、雛を含めて3人が大好き」


音は私に向き合い優しく頭を撫でた後、私を抱きしめてくれた

音、ありがとう


「私もね、5人でいるときが好き、大好き
 みんなが楽しそうにしているのが私にとって幸せだった」


「そんな雛には雛の幸せを掴んでもらわないとね?
 今度の文化祭で考えたらいいと思うよ
 一人一人と向き合って、ね?」


優しい言葉にさらに涙が出てきた


「ほら〜泣かないの〜」

「音〜!」

「はいはい」


私は音に慰めてもらい、落ち着きを取り戻す







「ありがとう、落ち着いたよ」

「そう?よかった」

「音、いつも一緒にいてくれてありがとう」

「いえいえ!
 それから…テストの件どうする?」



お礼…言いたい



「音がいるときに言おうかな…
 今大丈夫だよね?」

「電話してみな?」



ドキドキする…



「ちなみにどっちに電話するの?」


えっ…どうしよう…

話しやすいのは…


「陸くんかな?」

「陸くんね…一歩リードってところかな?」


そんなつもりは…!


「同い年だし、一番話してるのは陸くんだからだよ?!」

「ふふ、そんな焦らないくてもいいよ
 ほら、電話してみな?」


私は頷き、スマホを出す


LIMEから陸くんを開く


電話するって思うと緊張するかも…

私、電話するの初めてじゃない?


通話ボタンが押せない…


「ほらほら、押しなさいな」



「緊張しちゃうんだもん」


私が押せずにいると


「じゃあ、私が押してあげる!」





ピッ





「えっ…!」




プルルルルプルルルル…




電話繋がっちゃったよ!


ほらほらと電話を指差す音に言われてスマホを耳に当てる



出るかな…?



『もしもし?朝比奈?』



陸くんの声だ…


スマホ越しだけど、声を聞くとなんだか落ち着く



「陸くんごめんね
 雛だけど今大丈夫?」


『あぁ、大丈夫
 朝比奈から電話が来るなんて思わなかったからびっくりした』


そうだよね、私だって今緊張してるんだもん


「大したことじゃないんだけどね、直接お礼が言いたくて」


『ん、どうした?』






優しい声…
私はこの声が好き



「あのね、今日で全部のテストが返ってきたんだけど
 陸くんたちから教えてもらった教科全部、点数上がったよ!」
 
『そっか、よかった
 で、何点だったんだ?』


「えっとね、歴史が82点で国語が88点、英語は80点だったよ!」


英語は80点ギリギリだったけど私にとったら嬉しい点数だったんだよね



『頑張ったな
 それでもまぁ俺には届かないってところだな』



陸くんが笑ってるんだけど

笑っているって言っても馬鹿にするような笑いじゃないのは分かる


「そういう陸くんは何点だったの?」

『ん?確か歴史が94、国語が98、英語が96だったかな?』




わぁ本当に頭がいいんですね…




「なんかムカつく〜…」


『そうだなぁ〜何かお願い聞いてもらおうかな〜』


「そんな約束してたっけ?!」


『ん〜何にしようかなぁ〜』


陸くん聞いてます…?



でも…お礼もあるし一つくらいなら


「一つだけだよ?」





『ん〜じゃあ…明日も電話してよ』



電話…?


「いいよ、お願いします!」

『フッ、なんで敬語なんだよ
 よかった』


電話越しに声が聞こえる


「今、何してるの?
 声が聞こえるけど…」


『今、和と秋と一緒にいて撮影が一区切りしたからその打ち上げしてんだ』



和くんたちと一緒なんだ


「あ、じゃあ和くんに勉強のお礼を言いたいんだけど…」

『あ〜…和には俺から言っておくよ
 秋と和は今、2人で話してるからさ』


それならしょうがないよね


「分かった、お願いしようかな
 邪魔しちゃ悪いもんね」

『あぁ、明日、撮影が終わったらLIMEする
 電話、嬉しかったよ』



「うん!待ってるね!
 こちらこそ勉強教えてくれてありがとう」

『また明日な』

「うん、また明日」




ピッ




久しぶりに陸くんと話したからなんだか緊張しちゃったかも

でもいつもの陸くんだったから最後の方は普通に話できてたかな?


「雛、どうだった?」


音が電話を終えた私に話しかける


あ、そういえば音の家だったんだっけ


「お礼言えたよ!
 成り行きで明日も電話することになったよ」


「すごいじゃん!よかったね!
 また何か進展があったら教えてね?」


笑顔で言う音


「進展なんてないから!
 でも何かあったら言うよ」

「じゃあ、期待してます」


もう…音ったら



私たちはその後もいろいろな話をして女子会を楽しんだ










「お邪魔しました〜」

「雛ちゃん、またきてね」

「うん!またきます!」

「じゃあね、また明日」






私は音の家族に挨拶をして家を出た



明日、また陸くんと話ができるんだ


そう思うとなんだか嬉しくて家に帰る足取りが軽かった




家に着くと和くんからLIMEがきていた


『朝比奈さん、久しぶり、元気にしてる?
 テストのこと陸から聞いたよ
 点数が上がってよかった
 また、いつでも言ってね?』



優しい言葉…



私は和くんに返信をし、明日の準備をした