「あっ……実は、ラブレターを渡したくて……」
「へ……?」
つい、ポカンとしてしまった。
奏くんがモテモテなのは知ってる……だけど、やっぱり悲しい。
それに……私、ちゃんとした恋人になったんだよね……?いくらなんでも、私に渡すのって少し違う気がするし……。
悲しい気持ちに溺れていると……その女の子から乱暴にラブレターを奪い取った奏くん。
「奏くん……?」
もしかして、受け取るのかな……?
いやいやっ……でも、受け取って欲しいよね、一生懸命書いた子
そして鳴り響いた——
——ビリッ
「……え?」
奏くんが……なんと、ラブレターを破ってぐちゃぐちゃにして、その女の子に投げつけたのだ。
「神経しれねぇな」
恐ろしいほどに睨みつけて。
だけど、次第に奏くんは。
「美都、行こうか」
いつも通りとても優しい顔をして、手を差し出した。
奏くんが……冷徹で有名なのは、いつものことだ。
だけど、こんなに酷いことするなんて初めて……。