「これ、前から日下部さんにあげたいと思ってたの。いつも本読んでるから。」

高島さんの手のひらにはなんとも美しい葉っぱが乗っていた。葉脈標本(スケルトンリーフ)というものだろうか。葉脈だけを残した透き通った葉っぱが着色されていてそれを小花の押し花で飾りつけたものがレジンで包まれており上の方に空いた穴に細いリボンが通され結ばれている。

「これって栞?」

「そう。お母さんが作ったの。本物の葉っぱ使って。」

「へぇー!すごい!綺麗だね!あっ」

興奮して思わず大きな声が出てしまい、顔がかああと熱くなる。