「バスどれかわかんなくなっちゃって。一緒に行ってもいい?」

高島さんは眉をハの字にし今にも『てへぺろ』と舌を出しそうな困り顔で話しかけてきた。彼女のこんな表情は初めて見るし大人っぽいイメージしかない高島さんがこんな風に頼ってくるなんて意外に思ったが、彼女も私と同じ歳の中学生なのだ。それに自分を頼ってきてくれたことを嬉しく思った。さっきの電話を聞いて高島さんが日々苦労をしていることを知ってしまったから尚更だ。

「うん。それ、サービスエリアあるあるだよね。」

間違って違うバスに乗ってしまったら困るし、ぼっちだから誰にも頼れないのでかなりしっかり記憶してきたのだ。