「知ってる。」

思わず『へ!?』と変な声が出てしまい慌てて両手で口を塞ぐ。そんな声は聞こえなかったかのように彼はこちらではなく前の座席の背中を見たまま続けた。

「朝礼で表彰されてたでしょ。感想文、掲示してあったし。それ読んだら面白そうだったから。」

「え・・・!?」

まさか誰かが読んでくれていたなんて思わなかったし、私の感想文を読んで読もうと思ってくれたなんて・・・。嬉しい気持ちが入道雲のようにもくもくと広がる中佐原くんは更に続けた。