さらに少し進むと、空を覆っていた背の高い木々が減り、森の中は、日が差し込み明るくなった。
背丈ほどある水草が沢山生えている。
池ではないのだが、少し先の地盤は徐々に下がっていて、足元には水が溜まっていた。自分の背丈ほどの水草が生い茂る。
ここに、稲があるかもしれないと思うと気持ちがうずうずとして走り出したくなった。
「わ、わたし探してくるっっ!!」
興奮して沼地に突っ込んでいこうとしたら、慌てたカウルに待てと羽交い締めにされた。
「いきなりズボッと嵌まると危険だから、勝手に動き回るなよ」
カウルは心配そうに、わたしの腕を掴んで離さなかった。動きにくいから腕は放して欲しいのだが。
はやる気持ちを抑え、水草をかき分けて慎重に進んだ。みんなも手分けして、探してくれることになった。
「うーん、ないなぁ」
しばらくガサガサと探しても、稲らしきものは見つからなかった。
もし今が収穫の時期、日本でいう秋だと考えると、こんなに水が溜まっているところには、生えていないのかも知れない。
もっと、水捌けが良い場所に、黄金に染まった稲穂は、頭を垂れているはずだ。
今居る場所は、新緑の葉の草が生い茂っていた。
元気すぎて、葉にかさると皮膚がぴりっと切れる。手や腕には、小さな切り傷が増えていた。紙で切ったときみたいに地味に痛かった。
「おい、こら、それ以上奥へいくな。デリンクエンツの領土も近いって言っただろう。目の前なんだぞ。
見回りの隊に出くわしたりしたらどうするんだ。もうこの辺りは、稲は無いんじゃないか? 危ないし、移動しよう」
カウルは、お父さんのようにピタッと付いてきていた。
「はあい」と返事をしつつも、もう少しだけ奥を見てみたかったわたしは、目の前の葉を手で払って、さらに先へ足を踏み入れた。
背丈ほどある水草が沢山生えている。
池ではないのだが、少し先の地盤は徐々に下がっていて、足元には水が溜まっていた。自分の背丈ほどの水草が生い茂る。
ここに、稲があるかもしれないと思うと気持ちがうずうずとして走り出したくなった。
「わ、わたし探してくるっっ!!」
興奮して沼地に突っ込んでいこうとしたら、慌てたカウルに待てと羽交い締めにされた。
「いきなりズボッと嵌まると危険だから、勝手に動き回るなよ」
カウルは心配そうに、わたしの腕を掴んで離さなかった。動きにくいから腕は放して欲しいのだが。
はやる気持ちを抑え、水草をかき分けて慎重に進んだ。みんなも手分けして、探してくれることになった。
「うーん、ないなぁ」
しばらくガサガサと探しても、稲らしきものは見つからなかった。
もし今が収穫の時期、日本でいう秋だと考えると、こんなに水が溜まっているところには、生えていないのかも知れない。
もっと、水捌けが良い場所に、黄金に染まった稲穂は、頭を垂れているはずだ。
今居る場所は、新緑の葉の草が生い茂っていた。
元気すぎて、葉にかさると皮膚がぴりっと切れる。手や腕には、小さな切り傷が増えていた。紙で切ったときみたいに地味に痛かった。
「おい、こら、それ以上奥へいくな。デリンクエンツの領土も近いって言っただろう。目の前なんだぞ。
見回りの隊に出くわしたりしたらどうするんだ。もうこの辺りは、稲は無いんじゃないか? 危ないし、移動しよう」
カウルは、お父さんのようにピタッと付いてきていた。
「はあい」と返事をしつつも、もう少しだけ奥を見てみたかったわたしは、目の前の葉を手で払って、さらに先へ足を踏み入れた。