伸びをしながら、作って貰った寝床に勢いよく倒れた。布の下には、揉むと綿が出てくる変わった植物が大漁に敷き詰められているのだが、想像以上の気持ちよさに、目を輝かせる。

日本でいうと、川辺に生息するソーセージのような見た目の植物、ガマにそっくりだと思った。
簡易布団に頬をすり寄せていると、枕元に座ったカウルが頭を撫でた。


「寝心地はどうだ?」

「ふかふかで最高。わたしだけこんな豪華で、申し訳ないくらいだよ」

「さすがに野営は嫌がるかと思ったのに。ゆづかは物怖じしないな」

「実はさ、みんなでキャンプとかバーベキューって、憧れてたんだよねぇ。今日は鍋だったけどさ。新しい食材にも出会えるし楽しくて仕方ないよ」

「なんだ? そのきゃんぷと、ばー…なんとかってのは」

カウルはまた変な言葉をつかっている、と言いながら隣に寝っ転がった。
シングルベッドより幅がないから狭い。腕があたるので、身じろぎして、カウルの為のスペースを造ろうとしたら、カウルはわたしを抱き寄せた。


「狭いな」

「わ、わたし別のところで寝るから、カウルがここを……」

「ロットに怒られたろ。獣や蛇がでるかもしれないから、じっとしていろ」


フェンに襲われて以来、カウルと同じベッドで寝るようになったが、毎日こんなにくっついている訳ではない。半身がカウルの上に乗ってしまっている。カウルの腕が枕になり、体が密着した。

リアの華奢な体は、カウルの大きな体にすぽっと包まれてしまっている。
カウルはわたしを抱き締める腕に力を込めると、髪に擽るように鼻をすり、額や頬に軽くキスをした。


「ゆづかは可愛いな。俺が守ってやるから、無茶はするなよ」


(お、おしりがムズムズするーーーー!!)



カウルは元々、リアに気持ちがあったように思える。
日に日に、愛でられ度があがっていることに、恋愛レベルゼロなわたしは戸惑っていた。