キツネウサギは、血抜きをしてあったとは言え、腕が血塗れになるし、魚とは違って骨は硬く、内臓を処理するのも大変な手間であった。

それでも、文句を言わず黙々と捌いていたら、プーリーが「根性あんなぁ!」と褒めてくれた。


森の中。みんなで囲む鍋は、キャンプに遊びに来たような特別な気持ちになった。

鍋を中心に丸くなり、わいわいとしながら頬張った。

味付けは塩しかなかったのだが、山菜や肉が、胃にじんわりと染み通る、優しい味に仕上げてくれていた。

キツネウサギは、プーリーが教えてくれた通り鳥のササミみたいな食感と味で、癖もなく食べやすかった。
見たこともない、わたしの手のひらほどある特大のきのこも投入され、毒きのこだったらどうしようだなんて思いながら、恐る恐る食べたのだが、噛むと椎茸のような、独特な旨味がじわっと口に広がり、わたしは夢中になって食べた。



「ああ、お腹いっぱい!」

ぽっこり膨らんでしまったお腹を撫でる。


「カムよりたべてなかったか?」

「え、そう?」


2回しかおかわりをしていないわたしは、首をかしげた。デフは7回もおかわりをしたし、カウルだって4杯は食べていた。わたしが大食いなんじゃない。カムがもう少し食べた方がいいんだ。


「鍋って美味しいよね! みんなで囲んで食べる鍋ほど楽しいものはないわ」


こんな森の中で、寝れるかと不安を感じていたが、お腹も満腹だし体もくたくただ。横になったら、すぐにでも寝れそうだった。