「大物が取れたから捌いてくれ。こいつぁさっぱりしてうめぇんだ」

ずいっと目の前に掲げられ、わたしはおそるおそるそれを受け取った。すでに血抜きをしてあった。


「プーリー、これどんなお肉なの?」

「なんだ。ゆづかは見るの初めてか?あまり町の方に降りてこない動物だから、珍しいかもな。鶏の胸肉みたいにさっぱりした感じだぞ」

「……そっか」


それなら、鍋に合いそうだ。

すでに準備を進めていた鍋は、キノコや葉物がぐつぐつと煮え始めていた。そこに肉が投入できるのなら、良い出汁もでて味に深みが出るだろう。

捌き方もプーリーに教わらなくてはならない。
黄金色の毛はフワフワで、真っ黒な瞳に長い睫毛。ペットにできそうなほど可愛らしい顔にうっとなるが、恵みに感謝をして、板の上に寝かせると、まずは両手を合わせた。


「何をやっているんだ?」

カウルが不思議そうにした。


「食物にありつけたことに感謝をしているの。命をありがとうと」

プーリーも目を丸くしていた。


「ゆづかは、本当にゆづかなんだなぁ」

感心したように言われて、わたしは首を傾げながら捌くためのナイフを取った。