「んじゃあ、俺がメインの食料調達してきますよ」
警備隊の一人で、付いてきてくれたデフという男が言った。腹の出た毛むくじゃらの中年だ。
白いくるくるの髪と髭に阻まれ、顔は半分ほどしか見えない。ギリシャ神話のゼウス神のような風貌だ。
警備隊というには機敏そうには見えないのだが、弓の名手らしい。狩りに頼もしい存在ということで、今回同行してくれている。
デフは手をピンクに光らせると、黄金に光る弓矢を取り出す。
「でたよ。デフの金ピカの弓矢。ほんと趣味悪い」
一緒に来たカムがからかった。
カムは膨よかなデフとは正反対のゴボウのようにひょろ長い中年男だ。紫の長い髪を1本の三つ編みにし、腰まで垂らしている。デフとは仲が良いらしく、道中もよくじゃれていた。
「バカヤロー。武器ってのは自分を具現化した象徴! 派手でなんぼだ!」
デフは豪快に笑いながら、森の奥へと走っていった。