なぜそんなにも、危険だと言われる森の奥地へ行きたいかというと、もちろん珍しい木の実やハーブにも興味があるが、それよりも何よりも、稲が取れるかもしれないと思ったからだ。

ある日、プーリーが作ったスープに少量であったが、米粒のような物が入っていた。
古代米のような赤く染まった粒だ。

これはもしや米ではないかとプーリーに問い詰めると、随分前に警備隊が、珍しい植物を見つけたと、少量持ち帰ってきたものだそうだ。

小鳥が啄んでいたので、食べられると思ったらしい。
予想通り毒も無く、味も癖がないのはよかったのだが、肝心の調理方法に苦戦していた。
焼いても硬く美味しくないので、しばらく放置していたのだが、捨てるのも勿体ないので初めてスープに突っ込んでみた、という話だった。

わたしはそれを米だと確信した。稲を持ち帰り、栽培することが出来れば、茶碗いっぱいの米を掻き込むことも夢ではない。


「その、ゆづかの言う米ってやつ、あるといいなぁ」

「ええ、本当に最高なの。うまくいけば、この国の飢餓を救う救世主となるはずだわ!」

わたしは鼻息を荒くした。