カウルはゆづかのバラバラな髪を改めて確認し、項垂れた。
なんたる失態だ……
安易に剣をだしてしまった自分の責任だ。まさか、自分の髪を切るために使うとは思わなかったのだ。
城へ帰ってきた時も、城中の者がゆづかを見て次々と悲鳴をあげる中、彼女だけは満足げな顔をしていた。髪が短くなったことなど、露ほども気にしていない。
今も目を爛々とさせ、以前のリアが贅沢に溜め込んでいた服を引っかき回していた。
「いったい何をしているんだ?」
「うーん、なるべく伸縮性のありそうな布をさがしてるんだ。
ストッキング的なのがあったら最高なんだけどな~。でもたしか、代わりになりそうな服があったはず。どこで見たっけなー」
何やらブツブツと呟いている。すとっ……? なんだそれは。
「あ、あった! あとナイフ……」
ゆづかは目当ての服を掲げると、立ち上がり走り出す。
俺は慌てて頭を掴み阻止をする。
ナイフだって? 今度は何を切るつもりだ。
「待て! 先に着替えろ。いつまでびしょ濡れでいる気だ?!」
「あ、そうだった。忘れてた」
ゆづかは自分を見下ろして瞬きをした。
盛大なため息が出る。
「必要な道具は揃えておいてやるから、一度風呂で体を温めて、着替えてからにしてくれ」
「はあい」とかわいらしい返事をして、ゆづかは走っていった。
ちゃんと暖まって来いと言ったのに、ゆづかはザブンと風呂に入ってきただけで、すぐに出てきてしまった。
髪の毛も変わらずびしょ濡れで、川の水が風呂の水に変わっただけだ。
不揃いの毛先が視界に入り、眉を顰める。