リアが幼いころ、力の使い方を教えたのはなんとフェンであった。フェンの憎しみは誰よりも深いと思っていたが、自分が教えた技術で国を傾けられたとなったならば、それは到底許すことなど出来ないだろう。
この国一番の魔力の持ち主に、再び教えてもらえるのはありがたい話ではある。
しかし、今は他のどなたかにお願いをできないであろうか。
フェンにお願いしたのはカウルだ。
これを機会に和解できればというカウルの願望がすけて見え、チェンジと言いにくく、わたしはフェンからそれはもう愛憎のこもったご指導を、たんまりと賜っているわけである。
もう指導というかイビリに近い。
やっぱり、カウルに教わりたい……
肩に乗っていた蛙がぴょーんと飛び降りた。
何度教わっても全然自分では上手く出来なくて、イライラとしているフェンに、「こうやるんだよ。前に教えただろ」といわれ水をかけられ続けて一時間ほど経つ。
すでにわたしが召喚した水ではなく、フェンの力によって降り注いだ水で、この畑は塩を抜くことができそうだ。
冷えた体はどんどんと重さを増した。
ーーーーこ、ここ一番しんどい。
魔力というのは変に体力を消耗するようだ。
掃除より、土の掘り起こしより、300人分のスープをかき混ぜるより、よっぽど辛かった。
「ゆづか、大丈夫か?」
「具合悪そうだぞ」
最近仲良くなった畑の再開拓組が、隣の畑で仕事をしながら見守っていてくれたが、見かねて声を掛けてくれた。