カウルは充分に冷やしたあと薬を塗り、包帯のような物を巻いてくれた。少々大袈裟な気がするが、やけどに効くと言う薬草が、火照ってヒリヒリとしていた皮膚をひんやりと沈めてくれ気持ちがいい。


「明日も畑に行くんだろ? 大丈夫なのか?」

「勿論。骨折してるわけじゃないんだし、それに畑は急ピッチで作業を進めないとでしょ?」

「そうだが、無理をするなよ。困ったことがあったら言ってくれ」


カウルが心配性なお父さんのようになっているので、何かないかと考えた。

「あ、そうだ。土と石灰を混ぜた畑に水を撒かないといけないの。大雨が降ると良いんだけど……それか川の水を大量に運ぶ方法ってないかな?」

「水を運ぶ方法か……」

「本当は何回か石灰を巻く、畑を耕す、真水をかけるを繰り返したいんだけど、時間がかかるから、最初の畑は塩に強い野菜を植えようと思ってる」

「そんな野菜があるのか」

「もう少し濃度が下がればトマトやネギ、あとキャベツもいけるかも。これを第一陣にして育てている間に、違う畑をテコ入れしていくつもり!」

「……ゆづかの知識はすごいな。料理も、作物に対してもとても頼もしい。俺達は慌てふためいていただけで恥ずかしいな」

「そんなことないよ。たまたま得意分野だったの。これはリアであるわたしの責任でもあるし、力仕事はみんなに助けて貰わなくちゃ出来ないから。みんなが居てこそなんだよ。
わたしカウルに助けて貰ったこと忘れてないからね。恩は絶対返すし、カウルの顔に泥は塗らない。
それに、わたし畑仕事も料理も大好きなの。全然苦じゃないわ!」


だてにフォロワー100万人の女じゃないのよ。任せなさい。
誇らしげにどんと胸をたたくと、歓喜したカウルに突然抱き締められた。


「ゆづか!!」

「きゃう! うわぁっ」

「ああ、やっと俺は理想の女に出会えた。美しく聡明、民からの信頼も時期に回復するだろう。この警備隊が守るノーティ・ワンの象徴となる姫に相応しい。ゆづかが姫ならば、末永く民に愛されるに違いない」


ーーーーいや、まだそれほど信頼は回復していないぞ……

がっかりさせないように尚更頑張らなくてはと、わたしは腕の中で密かに気合いを入れていた。