「よーし、頑張って畑仕事を終わらせるぞー」
少しだけ早く休憩を切り上げ、スコップを持って立ち上がったわたしに、おじさんが
「ゆづかは元気だなぁ」
と苦笑した。
「ーーえ、名前ーー……」
ぽかんとすると、「え? な、なんだよ。お前はゆづかって名前だろ。総長だってそう呼ぶし」とおじさんが顔を赤くした。
「ーーーーうん。そう」
カウル以外にも認めて貰えたようで、じんわりと涙が滲んだ。
カウルが、よかったなと背中に手を添えた。
ポンポンと背中を叩かれると、涙がポロポロと零れた。叩かれると零れるなんて、まるでところてんみたいだ。
「ゆづかー泣いてんのかー」
「元気出せよゆづかー」
みんなに名前を呼ばれてからかわれた。
笑いながら、肩や背中を叩かれる。
涙が止まらなくなるから、それ以上叩かないでほしい。
「みんな、なんで呼び捨てなんだ?」
見守っていたカウルが苦笑しながら聞いた。
「だって、姫って感じじゃねーし」
「ゆづかさん、とかちゃんって感じでもねぇしさぁ」
「確かに」
「ゆづかは、ゆづかなんだよなぁ」
ガハハと笑うみんなに囲まれて、わたしはやっとノーティ・ワンに居場所が出来た気がした。