「んふふ、お楽しみに」
畑を手伝ってくれるのは20人ほどなので、食器を運ぶのもそれほど苦ではない。
器によそったおやつを見たみんなは、口々に「なんだこれ」と言った。
「ミルク寒天というのをつくりました。どうぞ召し上がれ!」
鍋の中は四角くカットした寒天ゼリー。
いつもはフルーツを入れて作るのだが、食材が少ない物を使うと料理長に怒られてしまうので、今回はミルクに、豊富にある煮豆を投入し、寒天で固めたミルク寒天にしたのだ。
「甘い……」
「お、なんだこれ口のなかでほろっとする」
「うめえ!」
作業の合間だし、男の人達ばかりなので、砂糖を入れすぎずに、さっぱり目の甘さにしておいた。
みんなの反応を見てから、わたしもあーんと口に含む。口の中に優しいミルクの甘さがじんわりと広がった。
噛みくだくとぷるんとはじけ、ほろりと崩れる。後から甘く煮た豆の食感と砂糖の甘み。川の水のお陰で冷え冷えだ。喉越しもよくパクパク食べられた。
「ゆづかは不思議な食べ物をたくさん作るんだな。こんな料理初めて見たぞ」
スプーンに乗せたミルク寒天を目の前に掲げ、カウルはマジマジと眺めた。
「カウルはどう? おいし?」
「すごく美味い」
夢中でちゅるちゅると食べてくれるので、嬉しくなった。おかわりもあっという間になくなってしまう。ひとり途中で食べるのを辞めてしまったおじさんがいた。