「おい、総長がすげえ笑ってるぞ」
「公開処刑の後から、リア姫とめちゃくちゃ仲良くなったよなぁ……」
「そうそう、リア姫もさ、前みたいにツンケンしてないし、本当に人が変わったつーか。よく笑って可愛いし……」
畑仕事を手伝ってくれる警備隊の人たち、がボソボソと噂する。
聞こえてるぞ。
ちらっと視線を向けると目があって、彼らは慌てて逸らし畑仕事に戻った。
二時間も働くと休憩となった。
みんな畑の横の草っ原にゴロンと転がる。
「あー腹減ったぁ」
「昼飯食っただろ」
「もう消化したよそんなの。あー夕飯までもたねぇー」
時間的におやつタイム。小腹が減る頃だ。
体力仕事ばかりしている男の人達に、城の材料をあまり使わず休憩中に手軽に食べれるもので、なんとか元気の出るものを作ってあげれないかと、実は一週間前から準備をしていたのだ。
その言葉を待っていたわたしは「んふふふふふ」と声を出した。
「おわっ、リア姫怖いっすよ!」
「妖しい笑い方すんのやめてくださいって」
「ちょっと待ってて! いいものがあるの!」
近くを流れる小川から、籠とロープにひっかけ、冷やしておいた大きな鍋を引き上げる。
みんなには内緒で鍋を運ぶのを手伝ってもらっていたカウルも、一体何を作ったんだ? と鍋の中をを覗いていた。