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汗はだらだらと土に落ちた。
わたしは原始的なシャベルでざくざくと土を掘り起こしていた。
なぜバイクがあって重機がないのだ。
錬金術師はバイクを作れるならぜひトラクターとか草刈り機とか肥料撒く機械とか作って欲しい。
国の自家栽培の半分を城の仕事で担っていたらしく、そのほとんどをリアが駄目にしてしまっていた。これでは恨まれて当然だ。
早朝は石灰を運び撒く。朝食を作りに城へもどり、午前中は掃除を行い、また昼食は食後の片付けだけを手伝い、午後にまた畑へ戻ってきたところだ。
ここ数日のわたしは毎日こんな感じだ。
とにかく畑を復活させないと、どうもわたしの評価が以前のリアのまま上がらない。
「いくらなんでも、働き過ぎじゃないか?」
「このくらいやらないとまた殺されそう」
「……否定できない……」
総長自ら土を掘り起こすのを手伝っていた。さすがの腕力。わたしの三倍の速度でやってくれている。
「カウルこそ、わたしにばかり構っていて、他の仕事大丈夫なの?」
今日は25メートルプールほどの畑だ。
一列土を混ぜ終わると、曲がっていた腰をぐぎぎとのばしてたたいた。
「時間を見つけてやってるさ。それに、今は国を立て直すのが第一だし、それにはゆづかのおもりが大事だからな」
「“おもり”!」
頬を膨らますとカウルはわははと笑った。
どうもフェンに襲われた夜から、カウルが以前に増して優しい。
常に一緒にいるし、色々世話をやいてくれるし。
彼はなぜか嬉しそうだ。
初めて見たときはフェンとラジ、三人の中で一番強面だし一番怖そうと思ったのに、実は誰よりも優しく、義理人情に厚い性格であった。