翌朝、カイルに案内されたのは、城からバイクで数分のところにある畑であった。

以前、引き回そうとされていたバイクに乗るのは少しドキドキしたが、乗ってみればなんとも快適だ。魔力が込めてあるバイクは、カウルが手のひらから電気のような力を出してエンジンをかけると、滑るように進んだ。

広大な畑で目にしたのは枯れた新芽の数々だった。
植えた苗は全滅しており、葉は茶色い。

土を確かめると肥料などはしっかりまぶされているようだが、リアが海水を撒いたと聞いたから塩が抜け切れていないのだろう。


「これはひどい……」

「リア姫が畑を駄目にしたんじゃねーか!」


カウルのお付きの人に嫌みをいわれてしまう。確かにそうだ。


「この辺に石灰が取れるところある?」

カイルの部屋の壁の一部に漆喰が塗られていた。どこかで取れ、加工しているはずだ。


「せっかい?」

「ええと、白くて、粉になって、壁とかに塗れる……」


説明すると「あれか」と思い当たりがあるようだ。

次に案内された山中に、石灰石の加工場があった。

いかついおじさん達が何人も働いており、岩が切り取られ、ノミで砕き粉にしていた。これだけ大量にあれば、畑の塩をとりのぞくことができる。


「これよこれ!」


土の中に塩があると、それが邪魔になり根っこが栄養を吸い取れない。だから土にカルシウムたっぷりの石灰をまぜ、塩と科学反応を起こさせて、除去をするのだ。
これは以前台風が直撃したときに、海水を含んだ雨風で家の畑の土が悪くなってしまったことがあり、その時に覚えた方法だ。


ようし、なんとかなりそうだぞ!

「これは建築材料だぞ?何に使うんだ?」

カウルは首を傾げた。