そんな感じでこの国のことを少しずつ覚えていく中で、ここ二週間ほどのわたしの仕事は主に掃除だった。
とんでもなく広い城の掃除は手分けしてもやることがたくさんあるし、広大な敷地のていれも人の手ではなかなか、はかどらない。
わたしは食事と睡眠以外はほぼ働いていた。
掃除した筈の場所をまたわざと汚され、時には頭から水をかけられ、知らない失敗を自分のせいにされ、元々簡素であったベッドまで切り裂かれていたときには泣きそうになったが、とにかく“わたし”を信じて貰いたい。
リアではなくゆづかなのだと伝えるのが、わたしの第一の目標だ。
理不尽なこともあったが、文句を言わずに働いた。
仕事内容に不満はない。
ーーーーーーしかし、
「ジャガイモだ」
この世界へ来てからというもの、わたしはジャガイモしか食べて居なかった。
蒸かしたりスープに入っていたりはするが、とにかくジャガイモだった。
美味しいです。
貴重な食料を、わたしのようなものに分けてくださりありがとうございます。
ーーでも、ちょっと工夫がほしい。
ついついこぼしてしまった不満を、周囲の者たちは耳ざとく聞きつけた。