お前は幸運の娘を守るのだぞ、と幼いときから父に教えられてきた。

先代が崩御するとき、
「リアを預けられるのはお前しかいない。我が儘な娘だが、なんとか頼む」と、手を握られた。

俺の名前を呼び助けてくれと懇願する彼女に、その言葉を思い出し、もうこれ以上寛容できないと思っていた気持ちが、急激にしぼんだのだ。


「リア姫の罪は俺も重々承知している。だが、先代の遺言を守りたい気持ちもあるんだ。だから、最後のチャンスが欲しい。また裏切るような事があったら、俺が総長の座を降りて一緒に処罰を受けよう」

そう宣言した俺に、みんなの反応は様々だった。


「何言ってんだ」
「総長がそこまで言うなら……」
「総長まで責任取ることねぇよ!」



「わかってんだろうな。お前まで裏切ったらただじゃおかねぇからな」

フェンには胸ぐらを掴まれた。


ラジには「とち狂いやがって」と舌打ちをされる。フェンとラジは幼いころからずっと一緒に育ってきて、信頼のおける仲間だ。その二人が味方になってくれないのは痛かった。


「これでまた騙されていたとなると、俺の首が飛ぶだけじゃすまないな……」

早くリアの問題を解決し、国を立て直さなくてはいけない。
自分が就任してから国政が上手くいっていないことに、大きなストレスを抱えていた。