何が起こっているの?

ぶわっと風が吹き、緩いウェーブの金髪が舞う。それに違和感を感じ自分を確かめると、足首まである白いワンピースの裾が縄の間で揺れ、土に汚れた裸足が見えた。

見下ろしたのは、わたしの体では無かった。モゾモゾと動かしてみると、微かに動く足は確かにわたしの体にくっついているようだ。しかし、見たことない体だ。

日は落ちかけ、周囲はうす暗い。火をくべたランタンのようなもので明るさを保っていた。
人の顔も何となくしか見えない。
しかし、いくら視界が悪いからと言って、35年も生きてきた自分の体を見間違える筈などなかった。

こんなに色白じゃない。こんなに細くない。
足首にはジャラジャラとアンクレットが付けられている。わたしは金属アレルギーなんだ。アクセサリーなど持っていない。

髪型は黒髪ボブだ。そのスタイルは昔から変わらず、小学生の時はトイレの花子さん、だなんてよくからかわれた。

会社でもあまりに地味だから、もう少し軽めの髪型にしたら、なんてアドバイスをいただくほどで、最大級のほめ言葉は日本人形のようだと言われることだった。

だから、背中まで流れるような、美しい金髪などありえないのだ。

なによりも、こんなグラマラスではない……!
きつく縛られた縄は谷間に食い込み、胸の豊満さが強調されていた。


こんなの、わたしの体じゃない……!


超絶意味の分からない状況に、わたしは必死に記憶を呼び起こした。

これはなに?
ここはどこなの。
なんでわたしこんな所にいるの?
何が起こってるわけ?

夢なら早く覚めて。
この世界から、早く脱出しなければ。


だって、

ーーーーなんかすっっっごい危機的状況な気がするんですけど!!