ゆっくりと頭を上げると、「お前は何者だ」と聞かれた。


「しっ、篠塚ゆづか……日本人なんですってばー」

ぐしぐしと泣くと、みっともなかったのかカウルは嫌な顔をした。そしてため息をつく。

「リア姫の処罰は延期だ。しばらく城内の奉仕にきりかえる」

「ーーーーカウル!!」

カウルが発言するとみんなが直ぐさまに反対をした。


「だめだって! また騙されるぞ!」

「こんな女を信じるのかよ!」


後ろに従う男達は「総長! 情けなんて無用です!」と声をあげた。

「責任は俺が取る。ーーおい、」

「は、はいっ」

「いいか、最後のチャンスだ。また裏切ってみろ。今度は引き回すくらいじゃ国民達の気持ちはおさまらないからな」


ドスの聞いた低い声にわたしは目を見開いた。

普段ならビビってしまうところだが、今一番怖そうに見えるこの人は、唯一、この国でわたしの見方をしてくれる人らしい。これを逃したら命はない。


「もっ、もちろんです!! 精一杯!ご奉仕させていただきますーーーー!!」


芋虫みたいに縛られているから土下座はできなかったけれど、精一杯の気持ちを込めて頭を石に擦り付けた。わけわかんないけれど尽くしてやろうじゃないか。
食事抜きのハードな仕事はやめてね。あと休日出勤とかしたことないから最長五連勤までです。掃除洗濯料理ならお任せを! 寧ろ喜んでやりましょう!


こうしてわたしは、訳わからない不良たちの世界?に転生をしたとたんに、また働くことになったのだ。