ちなみにこの二人、女学校時代の先輩後輩だ。

「でも、美佳子さんがそんな感じだったのなら。
 あなたが人の感情に敏感になった原因は、少なくとも私じゃなさそうね」

 実の母が原因だろうと暗に言ったあとで。

 咲子がまだアイスクリンと苺のデザートを食べ終わっていないのに立ち上がりながら、弥生子は言う。

「でも、咲子さん。
 あなた全然、人の感情に敏感じゃないわよ」

「えっ?」

「百歩譲って、敏感にわかってるとしても。
 あなた、それで特になんの反応もしないじゃない。

 ずっと、変わりなくぼんやりしてる。
 まあ、だから付き合いやすいんだけどね。

 行くわよ」

「あの、まだ何処か行くのですか?」