まあ、千疋屋で仕入れてきたというフルーツがどれも完熟で溢れんばかりの果汁が美味しく、止まらなかったのも確かですが。

「コカコラ、三本いただきましたので、一本、どうぞ」

「じゃあまあ、いただこうか」

 冷えているコカコラを女中がグラスに注ごうとしたが、行正は止めた。

「いや、このままの方が美味い気がするから」

 そこで、ふと気づいたように行正は呟く。

「……さっき、瓦斯を使った料理を教えてくれるから、緑子さんのところに習いに行ったと言わなかったか?」

「はい」

「フルーツサンドウイッチとコカコラの何処に瓦斯を使ったんだ」

 咲子は少し考え、言う。