いや、持って帰ったときは、眺めてないで食べてくださいよ、と思いながら、咲子はそれをとってきた。

「本日作りましたフルーツのサンドウイッチの……

 試食のとき出されたコカコラです」

 咲子はゴトン、とテーブルに瓶のコカ・コーラを置いた。

「サンドウイッチはどうした?」

「全部食べました。
 まだ、とても行正さんにお出しできるような代物ではありませんでしたので」

「いや待て。
 切って詰めるだけでは?」

 どうやったら、お出しできない物になるんだっ、と行正は言う。

「……美味かったか? フルーツのサンドウイッチ」

「……美味しかったです」

『美味すぎて、全部食ってしまったんだろう』
という行正の心の声が聞こえてきたが。

 いえいえ、不恰好だったからですよ。
 いや、ほんとうに、と咲子は思う。