結局、使用人たちは基本、通いだけとし。

 年配のやり手の女中だけを住まわせることにした。

 夜はふたりきりで過ごしたかったからだ。

 そうでないと、こいつ、俺を無視して、仲のいい女中とばかり話しそうだからな、と行正は思っていた。

 そういえば、初めてこの屋敷を咲子に見せたとき、少ししか見せまいと思っていたのに、咲子は奥の方まで見学したいと言ってきた。

「……奥の方も見たいか」

 そう言いながら、行正は思っていた。

 見るのか。

 まだ、結婚後のお楽しみにとっておきたいんだが。

 寝室とか可愛いぞ。

 ……それにしても、今日は人気のないこの屋敷に二人きり。

 だが、まだ手を出さないようにしなければな。

 結婚前に、おかしなことをして逃げられたら困る。