「この本の身の上相談に書いてある。
 下男と浮気してしまった華族の奥方の話がっ」

 咲子は激昂する行正に怯えていたが。

 女中たちは何故か、かばってくれず。

「さーあ、仕事に戻りましょうか~」
と呑気に言って。

 給仕がもう終わっていたこともあり、さっさと行ってしまった。