「でも、清六さん、いつ足が治るかわかりませんし。
 その間、まったく手入れしないと言うのも――」

 だが、行正は威圧的にこちらを見て言う。

「別にいいだろう。
 すぐに、どうこうなるわけでもなし」

「いや、でも――」
と咲子は珍しく言い返そうとした。

 別にどうしても、庭の手入れをかかさずして欲しいわけではなかったのだが。

 何故、そんなことを言うのかが気になったからだ。

 行正の心の声は沈黙している。

 ふいに行正は立ち上がると、婦人雑誌のひとつを持ってきて、咲子の前に投げつけた。