「…またか。」
日に日に増していくイタズラ。今日はロッカーに悪口の書かれた大量のメモ用紙が入っていた。
華やかなJKデビューは虚しく、友達もつくることさえ私には難しかった。
クラスの中で孤立していた私はいじめの対象になった。
親に相談なんて出来ない、ついこの間

「凛、学校楽しい?」

と聞かれたが、「うん、楽しいよ」
としか言えなかった…親に変な心配をかけたくなかった。

私は重い足を教室へ運んだ、ドアの前に立つだけで足がすくむ。
無理だ…ここには入れない。一旦トイレに行こう…

はぁ…帰りたい。
水道の前で意味もなく手を洗う、1人でこうしてる時間が1番落ち着く。
前を見ると鏡に自分が写った、入学式の日は肩より少し下だった髪の毛が、今では胸まで伸びている。
入学式の日に戻ってやり直したい…。
ーガチャー
誰か来た…
「なぁんだー凛ちゃん来るの遅いなぁって思ったらこんなとこにいたんだ」
1年4組 白川 瑠奈
あるグループのリーダ的な存在だ。そしてその裏には取り巻きの子が3人…
「あ、すみません。私もう出るんで」
「は?うちらただトイレしに来たんじゃないんだけど」
「え?、それってどういう…っ!」
後ろから取り巻きの子に両腕を掴まれた、身動きが取れない…!
「ちょっとそのまま捕まえててねー君も濡れちゃうけど許して」
えっまって、濡れる??
ーバシャャンー
「あははっ‪wビタビタ‪w」
「ちょっとぉー瑠奈ちゃんやりすぎー‪w」
「あぁーせっかく昨日スカートクリーニング出したのに濡れちゃったぁ‪ー保健室から借りよ」
「あ!うちお下がりでもう1枚あるからかそーか?」
「いいの?!ありがとー」

ピタピタと垂れる雫、私はわけが分からなくて
目の前で話している内容も全く聞こえなかった
制服の替えを保健室に取りに行きたいけど、こんなビタビタで行ったらきっと、いじめられていると勘づかれてしまう…もういいや、今日一日は屋上で過ごそう…