するとしおんはふっと寂し気な笑みを浮かべて静かな口調になる。

「でもさ、あかねって言いたいことを人に言わない人でしょ。代々木公園で叫んでいたのは、今まで胸の中に溜め込んできたことがあったからなんだよね」

 あかねははっとして顔を赤らめる。叫んでいたのを聞かれていたの? っていうことは吹雪く前からあたしの近くにいて動向をうかがっていたのね。ストーカーみたい、さすが変人さん。

 そう思うけど正々堂々告白したしおんくんに悪い気はしないなぁ。恋人が欲しいっていう願望は、勇気がなくて自力では無理っていう自分への失望の裏返しだったから。

「それはそうだけど……」

「俺だってそうだ。自分のことは誰にも話さない。みんな好きって勝手なこといって、俺のことを変人扱いするけど、それはただ俺がみんなの理解できない所にいるからだ。
 人間は自分の能力が及ばない相手を『変なやつ』って決めつけるところがあるんだ。自分が劣ることを認めたくないからさ。
 俺は昔から、人よりも頭が良くてイケメンだっただけだ」

「……それ、自分でいうんだ。やっぱり変」