スマートウオッチに話しかけるが返事がない。ブルルルーと自分の乗るブランコプターのプロペラの旋回音だけがこの広い空間に響いている。

「しおんくん、どうしたの、返事してよ!」

 不安に襲われ、スマートウオッチに向かって必死に叫ぶ。

 もしかしたらしおんくんにトラブルがあったのでは? 空の上にひとり、取り残された。そう思って怖くて涙があふれそうになった瞬間、足元の雲がぶわんと舞い上がった。

 そしてブランコプターに乗ったしおんが姿を現す。

「ははははは、なんだよその顔、泣きそうじゃん」

 しおんは笑いながらブランコプターをコントロールし、あかねのとなりに並ぶ。あかねは「ひどい! しおんくん」とぷんぷんしてしおんを責める。地上だったら手が出たのは間違いないけれどここでは無理。命にかかわる。

 するとしおんは「ごめんごめん、謝るよ。だからそっちに行っていい?」といって、突然ブランコに立ち乗りをする。

「えっ、ちょ、ちょっと待ってよ」

 しおんは空の上でそのブランコプターをギシギシと揺らすと、あかねのブランコプターに飛び移ろうとする。ほんと!?