すがるようにしおんを探すと、しおんはすでに西空の彼方に小さくなっていて、あかねに向かってブルンブルンと手を振っていた。しおんの自宅の庭では、しおんの母が両手を振って見送っていた。

　するとプロペラの音がブルブルと一段と大きくなり、ブランコプターは前方に傾き、そして進み出すとどんどんスピードを上げていった。

　冷たい風が痛いほど頬を震わす。

「きゃー、ジェットコースターみたい、早すぎるぅぅぅ！」

　目を閉じ叫び続ける。しばらくするとスピードが落ち、目を開くとあかねはしおんのとなりに追いついていた。というよりは、しおんが誘導しているわけで。

「こら、しおんくん！　怖すぎるじゃないの、やめてよ」

　と大きな声で叫んでも、それはプロペラの騒音にかき消されてしおんには届いていないようだった。

　しかしその様子を察したのか、しおんは自分のスマートウオッチをちょんちょんと指さして、ここで話をするようにとジェスチャーであかねに伝える。

　スマートウオッチを確認すると、ここに話しかけてというメッセージが表示されていた。