授業の休み時間、しおんはあかねの話を聞いてそう零す。そして教室の窓から望む夜空を見上げ、感慨深い顔をする。
 
「また夕焼けや星空が眺められるなんて、思ってもいなかったよ。それからあかねの顔も、ね」

 するとまた、東風がびゅーっと吹いてきた。徐々に元の地球に戻ってきている証拠だ。空を眺めていたしおんの前髪がさらりと揺れて真剣な横顔の輪郭がくっきりとする。

 やっぱりイケメンだぁ、と改めて思い胸がときめく。

 するとしおんはあかねに視線を移してじっと見つめる。その瞳は、やはり深い色をしていた。あかねが照れて視線を逸らすと、突然、あかねの手をつかみ、「外へいこう」としおんは提案する。

「なになになに?」

「いいからいいから。今の強風で雲が晴れたんだ。だからちょうどいい」

「どこへ行くのよぉ」

「決まってるだろ、誓いの鐘だ。授業中だったら誰も来ないだろ?
 それに新世界で一番最初に誓いを立てるのは、俺ときみの他にはいないはずだ!」

「ちょっと、しおんくん! あたし勉強する気満々なんだけど。しおんくんに付きあって遅れた分を取り戻さなくちゃ」