それも最近ようやっと復旧してきたところだ。そしてセントジョーンズ高等学校もついに授業を再開したところだった。

 あの奇跡が起きてから二週間ほど過ぎた現在、自転の周期は四十八時間まで戻っていた。現在は時計の上では日中だけれど空は宵闇に包まれている。夜の訪れと共にあの灼熱の白夜は過ぎ去り、だいぶ過ごしやすくなったのはいうまでもない。

 その間に学校を離れていた先生達も、再会で盛り上がり、そして担任の山川先生は意中の同僚に「誓いの鐘イベント」で告白するのだとあかねに申し出てきたのだ。

「きみは世界を救った英雄だからね、きみの司会役で告白できるなんて一生の記念になると思って」

 照れながらそういう三十路過ぎの山川先生はまるで思春期男子みたいな初々しさがあった。

「いや、世界を救っただなんて……。みんなの願いが通じたからです。それに先生、大丈夫ですよ。お相手の方はきっと断らないと思います」

 そのイベントの強制力を身をもって知っているあかねは、心の中で笑みを零す。



「大人になっても同じなんだなぁ。
 恋心ってのは生き物なんだね、俺ははじめて知ったよ。あかねに告白してからさ」