その瞬間、太陽から降り注ぐ灼熱の光線が色を持ち始めた。青、紫、緑、オレンジへと色を変え、まるで風にはためくレースカーテンのようにゆらゆらと揺らいでいる。

「来たぞ、磁気が大きく狂うぞ」

「すごい綺麗……真昼の極光《オーロラ》ね、はじめて見た」

 あかねはその光景に見惚れて我を忘れる。世界が終焉を迎える、その刹那にだけ見られる地球の夢の姿。するとその極光《オーロラ》はしだいに広がり空一面を包み込む。

 極光《オーロラ》が天空を満たすと空気がブゥーンと振動し始める。しだいにその振動は強さを増し、振動を蓄えきれなくなったところで突然、パーンと空が砕け散った。
 
 そして光の雨が地上に降り注ぐ。

「磁気の矢だ。正体は高密度の磁気の塊だ」

 それは地上に次々と衝突し、虹色の火花を散らす。落下位置の周囲にいた人達はばたばたと倒れてゆく。
 しおんはあかねをぎゅっと抱きしめる。あかねはしおんの胸の中に顔をうずめる。
 
「来たぞ、いいか、あかね!」

「うん、離さないでっ!」