しおんとあかねは互いに視線をあわせては会場に目をやり、声をはりあげる。

「皆一緒に願ってくれ!」

「お願い、一緒に未来を願って! あたし達は願うことしかできないけど、皆で願えば願いはきっと天に通じる!」

 そしてふたり、声をあわせて叫ぶ。

「世界が救われることを!!」

 すると会場はしん……と静まり返った。

 世界が救われる、そんな奇跡がほんとうに起こるのか。皆そんな疑問を持つのは当然だけれど、そのふたりは誰もが納得してしまう、運命を見据えたような雰囲気があった。

 磁気嵐に襲われるまで、あと一分もないだろう。何が起こるかわからない今、皆はその時を、固唾を飲んで待つ。

 静まり返った会場の舞台の上で、しおんは静かにあかねに語りかける。
 
「あかね、たとえどうなっても俺はあかねを愛している」

 しおんはあかねの手を取りぎゅっと握る。あかねもそっと答える。

「しおんくん、あたしもたとえ世界が終わっても、しおんくんの事を愛し続けている」

 そして繋いだ手を空高く掲げた。