「そのお陰で一部のシェルターに逃げ込もうとした人間もそうでない人間も、これで同じ条件になりました。いずれにせよ世界は終焉を迎える時、助かる人はひとりもいないことになります。皆の命は磁気嵐によって平等に扱われるのです」

 東堂は努めて明るく振る舞う。見上げたプロ魂だとあかねは敬服する。そこでさらに藤堂は言葉を紡ぐ。

「ああ、私も個人的にはこのふたりのように、愛する人と一緒に世界の終わりを迎えたかったです。
 おふたりとも天国で、末永くお幸せに……」

 やけっぱちのナレーションでしおんとあかねを祝福する東堂。あかねはその言葉に全身鳥肌が立ち、胸が震えた。はじめてしおんとの仲を祝福してくれる人がいたのだと。

「藤堂さん、ありがとうございます……」



 ところがその間、しおんはずっと何かを考え続けているのにあかねは気づいていた。指を顎先に当て、その唇が小さく動いている。あかねはその魔法を唱えるようなしおんの仕草を凝視する。

 あたしは知っている。彼は今、ONモードだ。こんな時の彼は……。

「……強烈な磁気嵐……太陽は頭上……まったく逆方向に……今、内核は不安定、つまりそれは…